【VtuberやVRの未来予想】ヴァーチャルのアレコレな話【アレ★トーク(1)】

(バーチャルYouTuber「キズナアイ」(C) Kizuna AI)

〈アレ★Club〉のメンバーがGoogle Hangoutで行っている日々の雑談の中から、「一匙の公共性」がありそうなものを「さいむ」が勝手に書き起こし、他のメンバーのチェック無しで記事化する「アレ★トーク」。初回となる今回は、昨今話題の「バーチャルYouTuber(Vtuber)」や「VR」といったバーチャルに関する雑談を勝手に記事化しました。

★本日の登場人物
・山下泰春
・堀江くらは
・市川遊佐
・永井光暁

*********************

堀江くらは(以下、くらは):
輝夜月」可愛い。

市川遊佐(以下、市川):
Vtuber、メチャクチャ流行ってるよね。僕は全然見てないけれど、実際どうなの?

くらは:
個人の配信とかに新しい形は提供しているとは思うよ。以前から「FaceRig」とか使えばできたことだけど、Vtuberでそういうことができるって認知はより広まったと思うし。

山下泰春(以下、山下):
実際、配信で顔出しはしたくないって層が、身振り手振りを付けた配信をしやすくなったよね。で、身振り手振りがあるとプレゼンス能力も上がるんじゃないかな。

くらは:
それに、誰でも可愛い女の子とか、理想のキャラクターになることができる。代表(山下)だって馬になれるぞ!

山下:
せやな(笑)

くらは:
そもそもさ、Vtuberの話って皆好きだけれど、実はアレって技術的には何も新しくないよね。

永井光暁(以下、永井):
確かに一般層にもそういうことができるようになったのは進歩だけど、アバターに関して言えば昔からあるし、高度な技術と捉えるのは少し違うかなぁ。寧ろ、その汎用性の高さに注目するべきなワケで。

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くらは:
流行の流れを見る限り、「ニコニコ動画(ニコ動)」で流行ったのは大きかったよね。「輝夜月」もそうだし、他には「電脳少女シロ」とか。

山下:
「ニコ動」が超会議にVtuberを召喚したのが象徴的だったと思う。いわゆる古いオタク層にVtuberみたいなものってなかったから広まってなかったんだけど、転載された動画によって開拓されたんだろうね。

◆「これから」の話の前に抽象的な閾値の話

市川:
うーん、ある程度の差異でしかないっていうのはくらはさんと同意見かな。何らかの閾値は超えたんだろうけど、その閾値がどんなもので、それをどう超えたのかは分からない。多分、「不気味の谷」とはまた違う壁を超えたはずなんだよね。

山下:
多分だけど、「MMD(MikuMikuDance)」にその発端があるんじゃないかな。なので、アニメや3D的なものに「不気味な谷」はどのくらいあるのかっていう話になると思う。既存の言説で言うような「不気味の谷」とは違う何かがあるんじゃないかな。

永井:
実はピクサーが『トイストーリー』から始めたような3DCGの独特なキャラデフォルメって、今でこそ受け入れられているけれど、アメリカ人の間でも、当初は強い違和感があったらしいよ。それ以外でも、Vtuberについて考えるのなら『ザ・シムズ』や『Second Life』の登場の文脈も考慮に入れた方がいいと思う。

山下:
この閾値って、ある特定の文化に関する壁なのかな。それとも、人類全般が抱く生理的な嫌悪に関する壁?

市川:
多分その混合だと思う。もちろん、文化によって違いは出るはずだけど、僕はそれが面白いとも思うけどね。

永井:
ただ、Vtuberは決してリアル志向じゃないから、たとえそこに何らかの違和感があったとしても、やっぱり「不気味の谷」ではないと思うんだよね。

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くらは:
その話で言うと、Vtuberの場合、リアル志向じゃないとしても中の人の存在が強く認識されているのは面白いところだよね。認識されている上で無視されてて、いわゆる狂言や歌舞伎における黒子的な存在として捉えられているっていう。もっとも、その意味ではVtuberってやっぱり「中の人によるプレゼンスの手段」であって、過去にGorillazが実践してることでもあるんだけどさ。元々、日本のアニメ文化によってVtuber文化の土壌はできてたんだよね。さっき言ってた「MMD」の存在もあったし。挙げていけばキリがない数の既存の文化の複合としてVtuberが生まれたことで、YouTubeの配信スタイルが今まで届いていなかった古い年代のオタク層にも受け入れられたんだろうね。

永井:
この辺りの話は、『アレ』Vol.2で三宅陽一郎さんのインタビューで言及されていた「見立て」の問題なんかを思い出すね。

くらは:
ただ、見る層は増えているし、技術の敷居も確かに下がってるんだけど、使う人がどう増えるかについては疑問があるんだよね。

市川:
そこはコミュニケーションツール化しないと増えないのかな?

永井:
VRChat」がもっと普及するのを待たないといけないんじゃないかな。「VRChat」の最大の強みって、ただそこにいるだけでもコミュニケーションが成立することだから。

くらは:
実は「VR」の定義って実はかなり曖昧なんだよね。それと同じように、「Vtuber」の定義も曖昧。フェイシングもいらなくてさ、3Dモデルさえ用意すれば、後は普通に動画を作ればいいだけで、モーション付けにトラッキング技術を使っていようがいまいがどうでもいいんだよ。身体の動きをトラッキングできる環境がある人たちには、手付の手間もいらないし、制作がより楽にはなっているってだけで。実際、動画制作の敷居も下がってるしね。

永井:
確かに、いちいち3Dアニメーションソフトとかで動作を設定するより、僕が「輝夜月だよ~♥」って身振り手振りをした方が楽だよね。

◆これからのVtuber

・公告の話

くらは:
で、ちょっと話題を変えるんだけど、これからのVtuberって、企業がやる広報的なVtuberと、アマチュアないし一般人がやる、つまりはコミュニケーションとしてのVtuberの二極化が進むと思ってるんだよね。

山下:
キズナアイ」は元からActiv8株式会社が開発したVtuberだからね。反対に、個人で最初に有名になったのは、「バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん」なんじゃない?

くらは:
YouTuberがゲームコラボしてるって動画は結構あるけど、ゲームコラボはVtuberの方が親和性高そうだよね。元々ゲーム寄りの絵柄なワケだし。

永井:
最近は大抵のYouTuberがYouTuber用の事務所に入ってるんだよね。個人の活動にどこまでスポンサーが付くのか、既存の文化と組み合わさって新しい文化を生むのか、気になるのはこの辺りかなぁ。

くらは:
個人のVtuberにどれだけスポンサーが付くかの話になるんだけどさ。今まではTV番組にスポンサーが付いてたじゃない。現状のYouTubeでもそう。でも、今後の広告の在り方として、常に「キズナアイ」がトヨタとかの企業のTシャツを着ているっていう可能性も考えられるんだよね。つまり、外部からマスコットキャラクターを持ってくるっていう形になる。それで、「キズナアイ」が良いことをすれば企業の価値は上がるし、悪いことをすれば当然価値は下がる。生の人間だとそういう評価が直接反映されるのは見ててちょっとキツいけど、Vtuberだとそこまで違和感ないじゃん。

山下:
スポーツとかでよくあるやつがイメージに近いのかな。 錦織圭選手がユニクロのシャツ着てたりとか、F1選手がマシンに企業のロゴ貼ってたりとか。

くらは:
あるいは、e-Sportsの選手がレッドブル飲んでるとかね。まぁとにかく、公告のやり方はどんどん増えているよね。ステマかダイマか分からないけど、コンテンツに広告を忍ばせる方法はこれからも増えるはず。例えば、動画全体にトヨタの車がいきなり走ってくるような動画内広告(宣伝)みたいなのも出てくるかも。

永井:
それと、従来通りTV番組化して宣伝を付ける方法もあるよね。

山下:
でもそれだと、「キズナアイ」のテレビ番組に付いたスポンサーが2~3週間で降りちゃったことが過去にあったよね。

くらは:
それはそもそも企画の問題じゃないかな。スポンサーのやり方が悪かっただけ。だって、誰も大人しい「輝夜月」なんか見たくないでしょ、それと同じだよ。企業が求めるものと視聴者が求めるものが違っただけで、宣伝の幅が広がったということが重要なんじゃないかな。

・運動の話

市川:
他には、何かしらの運動に何処までVtuberが絡んでくるかも注目だよね。極左Vtuberみたいな(笑)まぁ、政治活動はYouTubeでBANされてるけれど、BANされないギリギリのライン探しが始まってもおかしくない。

くらは:
自民党発のVtuberとか出てきそうだよね。例えば、自民党のYouTubeアカウントに「選挙に行こう!自民ちゃん!」みたいなVtuber動画が投稿されるかもしれない。仮にYouTubeが駄目でも、プラットフォームによっては存続する可能性もあるし、既存のマスコットキャラクターがVtuberとして進出する可能性もある。低年齢・若年層にリーチする手段としてVtuberを自前で用意する方が、効率的で安上がりだしね。

永井:
そうなった場合、「お前には投票権も参政権もねぇだろ!」ってコメントされてからが本番だな。

一同:
(笑)

永井:
同じく負の側面で言えば、「バーチャル宗教」みたいなものが出てくるかもしれないね。まぁ、仮にもし出てきたとしても、メディアが元々持つプロパガンダ的側面が前景化してきただけって話かもしれないけど。

くらは:
まぁ、その前景化が問題なんですけどね。

・コンテンツの話

くらは:
この話に付随して、実は大事な軸がもう一つあるんだけどさ。Vtuber、あるいはVR技術がこれから既存の文化にどれくらい溶け込むかっていう問題があるんだよ。例えば、今は「Tik Tok」が若者の間で流行っているけど、これとVRってどれくらい親和性があるか。僕はあると思っているんだけどね。

永井:
それに絡めて言うと、僕らがやっている活動ってさ、VR技術が発達していけば、いずれはどんなものでも二次元のキャラクターと組み合わせてできるようになるんだよね。「VIVE Tracker」とかのおかげでフルボディトラッキングとかの技術も使いやすくなってきてるし。なので、その辺りの技術がどのくらいVtuberや「Tik Tok」のユーザーに普及していくかも問題だよね。その辺の技術を気軽に使える新しいアプリが作られたら、新しい文化というかエンタメは生まれてくると思うよ。

くらは:
そういう新しい文化とかエンタメができることを狙って、僕も最近VR系のアプリとか色々企画してるんだよね。その手始めが『なんでもVR変換くん』なんだけど。例えば、今はスマホで見ている動画をリアルタイムでVR動画に変換できるアプリとか企画してる。

市川:
隙あらば宣伝……w

山下:
僕はそういう流れって一元化されないと思うんだよね。Vtuberの流行速度とは別に「VRChat」とかの空間って作られていくんじゃない。ちょっと話は変わるけど、僕が以前いたオンラインチャットコミュニティでは「ねとらじ」が流行ったんだよね。皆がチャットとは別のツール、つまりはラジオの中でコミュニケーションを取り出して、互いに互いのラジオを聞いて、聴取者は両方のラジオを聞いてコメントをしていた。もしかしたら「VRChat」以外にも、コミュニケーションを駆動させる別のメディアが増えていく可能性があるんじゃない?

永井:
それについては、声も含めた身体性の拡張の話になると思うよ。

くらは:
結局、「メディアが発達する=身体が拡張する」だからね。そう考えると、一部の層がSNSに求めていた緩い繋がりみたいなものが、今は「VRChat」にあるって言えるのかもしれない。Twitterとかと違って、拡散されないから変な歪みとかも生まれないだろうし。

・今後の問題

永井:
ただ、そういう運動とか、新しいエンタメとかにも、フェイクニュース的なリスクはあるよね。Vtuberだったら、声を上手く変えてくれるサービスとか出てきたら、中身の性別とか分からなくなるじゃん。

くらは:
今、AIに女性のモデルの動きをトレースさせて、そこにタレントの顔を貼るっていうポルノがある。「フェイクポルノ」って言うんだけれど、リベンジポルノ関連でも問題になってる。バーチャルなものって、悪意ある第三者にいじられやすいんだよね。ポルノ以外でも、政治活動を表面上隠して、バズで特定のイデオロギーを浸透させるみたいなこともできてしまうし。今でさえ、Twitterのような匿名の場で炎上でダメージを負う人がいるのに、Vtuberに限らず、バーチャルな技術が浸透したら、より過激なことができてしまうようになるよね。それに、日本は海外と比べてフェイクニュースやステマに対する対策や法整備がまだ進んでないのも問題だし。

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山下:
「裏垢女子(中身はおっさん)」みたいなのが増える一方で、フェイクポルノが作られていく……ヤバいよね、これ。

くらは:
技術の高度化は、犯罪の多様性と手軽さも増やしてるんだろうね。

山下:費用対効果で考えた時、犯罪は工数に対するリターンが大きくなってきていると思うよ。昔は空き巣のために針金で鍵をピッキングしていたけど、今はマスターキーを使えば解錠できちゃう、みたいな。3Dプリンターで銃が作れるようにもなったし……。

くらは:
色々な正の側面はあるけど、一方で負の側面も出てくることは避けられないよね。メディアが進歩すれば、正の側面も負の側面も両方拡張されるよねっていう話だと思う。

◆まとめ

くらは:
そろそろ作業に集中したいからまとめに入ろうか。Vtuberについては、結局は既存のインターネットにある文脈の延長線上にあるだけのもので、新しい文脈を作るもの、新たなアーキテクチャを作り出すものではないんだよね。新しい楽しみやコミュニケーションが生まれているといっても、既存のものの形式を変化させているに過ぎない……とまぁ、これが現状なのかな。これからどう変わっていくかは分からないけれど。

山下:
研究者の視点で見ると、Vtuber研究自体は、既存の映像論を用いて語られるようになると思うよ。スクリーンショットを撮ったり、字幕やコメントを参照したり、とにかくアクセスが容易だから、研究対象の資料集めが楽だと思う。だから、研究の間口は広いかもね。で、インパクトケースの根拠として挙げられるのはやっぱり再生数なんだけど、それだけで社会への影響度を語ることの危うさはもっと語られてもいい。ただ、再生数が実際何の基準になっているのかは不明だけどね。

市川:
うーん……説明してもらって悪いんだけれど、割と興味の対象にはならなかったかなぁ。社会をより良くしていってくれるかというと微妙な気がする。強いて言うなら、他の人の話にもっと耳を傾けるようにはなるから、そこはアリだなと思うよ。あと、僕は気にならないけど、人の話を聞く時に相手のレトリックとか見栄えみたいなものを気にする人は多いから、そういう人にとっては結構大きな変化になっていくかもね。

くらは:
個人的には「再生数=評価ベース」の、言ってしまえばオッパイ見せた方が有利みたいな「キャバ嬢」的なシステムからの脱却がなされないと、Vtuberが社会に寄与することはないと思うよ。でも、一方で「VRChat」とかは希望が持てるよね。さっきも言ったと思うけれど、アレには「再生数」という基準が存在しないから。なので、上手くシステムを作れば、「ポリス」みたいなものも生まれるかもしれない。まぁ、永遠にインターネットキャバ嬢的なものはなくならないんだろうけれど、希望もなくはないよっていう。何か作ろうかな、俺が……。

山下:
もっと進んだ話をすると、例えば「VRオフィス」のような場が生まれてくれば、そこに新しい可能性が生まれてくるかもね。それは楽しみだし、VR空間の拡張みたいなことは考えて企画してみたいかな。

永井:
じゃ、一区切り付いたみたいだし、そろそろ作業に戻ろうか。代表、原稿上がってる?

山下:
……ははは……。

次回:【日本における家庭料理の商品化】あなたの「ペペロンチーノ」はどこから?【アレ★トーク(2)】

[記事作成者:さいむ]

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