合同誌の権利関係をもう一回気にしてみよう。


今朝Twitterを眺めていると、こんなTogetterのまとめ記事が目に入った。

漫画の著作権が漫画家にない?!場合もあり得るというお話
https://togetter.com/li/1130500

内容を要約すると「漫画連載において、権利関係をよく確認しないとお金が入らない場合もある」という恐ろしい記事だった。契約書をしっかり読もう、と言ってしまえばそれまでの話なのだが、ちょっとこのことで思ったことがある。

一部の方は既にご存知かもしれないが、〈アレ★Club〉では寄稿者が『アレ』や「コレ!」に論考やエッセイといった記事を寄稿する際、投稿規約を必ず読むようお願いしている(※投稿規約はコチラ)。筆者が〈アレ★Club〉に加わったのは2016年後半のことだったが、この投稿規約が制定された年月日を確認していただければ分かる通り、この投稿規約はそれより以前から既に作られていた。もちろん、筆者も『アレ』Vol.1の寄稿者として〈アレ★Club〉から寄稿の勧誘を受けた際に目を通している。

この投稿規約は、今まさに皆さんが読んでいる「コレ!」の執筆者募集ページからリンクを辿って見ることができるものであり、〈アレ★Club〉では秘匿どころか積極的に公開しているものだ。しかしそれでも、こうして改めて読み返してみると、その真面目さに同じサークルメンバーながら少し手に力が入ってしまう。

閑話休題。先程のTogetterの記事を読んで筆者が気になったのは、こうした権利関係の整理をどれほどの同人サークルが行っているのか、ということだ。同人誌を即売会で購入していると、幾人かの人が集まって本を作る「合同誌」という形態を必ず目にする。当然ながら、合同誌は寄稿者と編集者が別になることもあるし、編集者と出資者がさらに別になるケースもある。誰がお金を出して、誰が編集して、誰が寄稿しているのか、その見極めが難しい場合もある。

そうなると、「寄稿した文章や作品を誰がどう取り扱うか?」という問題は微妙な問題になってくる。「既に寄稿されたものなのだから、あとは編集者がどう扱おうと問題ない」と勝手に解釈するのは危ういだろう。編集者がTwitterや他のSNSで寄稿者の作品を画像を添付して紹介しようとして、寄稿者から苦情が来ることもあるかもしれない。

あるいは、金銭関係のトラブルも発生する可能性がある。合同誌に寄稿するという行為を寄稿者や編集者がどのように捉えているかにもよるが、報酬関係の取り決めを怠ると、あとでそうした揉め事も起こりかねない。筆者の知る範囲では、完成した合同誌を各寄稿者に一冊ずつ献本するというのがメジャーな対価だが、これも各サークルごとに異なってくるため確認が必要だ(ちなみに、『アレ』の場合も寄稿者には報酬として『アレ』を1部献本することになっている)。

もっとも、何も全てのサークルがこうしたことについてフォーマルな文書を作った方がいい、とまでは筆者は思わない。合同誌の規模やサークルの目標、個々人の状況によって最適解は変わるだろうし、こうした権利関係に過剰な配慮をすることが却って逆効果になるケースもあるだろう。極端な話、二人っきりで一冊の本を一緒に作り上げた合同誌の場合、弊サークルのようにわざわざ文書で権利関係や報酬の取り決めを定めること自体が野暮になってしまうことも考えられる。これはあくまでも筆者の意見だが、その時間があったら二人で楽しく話して合同誌制作の時間に充てた方がいい。

とはいえ、それでも寄稿者と編集者の双方が最低限の確認を意識的に行っていく必要はあるだろう。何が起こるか分からないのが人間関係であり、金銭関係なのだから。

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[記事作成者:さいむ]