「コレ!」パッチノート(Ver.0.9)


こんにちは。当サイトおよびジャンル不定カルチャー誌『アレ』編集長の“堀江くらは”です。2019年も早一ヶ月が経過し、当サイトもオープンから半年が経ちました。日頃から応援してくださっている皆様のおかげで、僕たちの活動も少しずつですが軌道に乗りつつあります。改めてこの場を借りて、皆様に心より御礼申し上げます。

さて、当サイトではこれまで、当会こと〈アレ★Club〉の活動に共感して応援してくださる方、活動に協力してくださる方、そして、自分でも僕たちと同じような活動をしてみたい、もしくは既にしている方のために、機関誌『アレ』の制作にまつわるアレコレや、当サイトことジャンル不定カルチャーWebマガジン「コレ!」の理念や目標、今後についてお伝えしてきました。

今回は、当サイトの今後の運営について、皆様にいくつかお知らせしたいことをお伝えしたいと思います。特に中心となるのは、サイトオープンから当サイトを振り返り、問題点や達成点を挙げながら、同時に〈アレ★Club〉で行ってきた様々なイベントやTwitter上でいただいたご意見を参考に、現代のメディアの問題点を踏まえつつ、僕たちが掲げる「日常から知を吸い上げ、紐づける」という目標を達成するために必要なアップデート内容についてお伝えしていきます。

なお、今回のお知らせは、僕の趣味のゲームにおける「パッチノート」風に書いてみたいと思います。〈アレ★Club〉の私情的な問題を通じて、多くの組織に共通の問題を掲げることができたと思います。このパッチノートが他の同人サークルや、副業的な組織作りを志している人々にとって参考になりましたら幸いです。

◆0.そもそも〈アレ★Club〉とは?

当会こと〈アレ★Club〉は、ジャンル不定カルチャー誌『アレ』とジャンル不定カルチャーWebマガジン「コレ!」の制作を中心に活動しているサークルです。目まぐるしく変化する世界の中で失われがちな「知」と「日常」の問題を再発見すべく、文理問わず様々なメンバー(2019年1月時点のメンバー数は10名)が集まって結成されました。

また、僕たちの主な活動場所はWebですが、大阪や東京でイベントを行い、一般書店で『アレ』の委託販売を実施するなど、リアル世界にも進出しています。手前味噌ですが、僕たちは「評論系」と呼ばれる非商業団体(同人サークル)としては一定の規模を誇っていると思います。

◆1.昨年の問題点

A:「コレ!」更新頻度の問題

残念ながら当サイトの更新頻度には現状問題があります。特に、昨年の11月~12月にかけては週1回の更新すらできなかったこともあり、これについては改善する必要があります。また、更新頻度の向上については、以下の問題を解決することが必要となります。

・〈アレ★Club〉メンバーのスケジュール管理(人員管理と情報共有の徹底)

僕たち〈アレ★Club〉のスケジュール管理は、機関紙『アレ』を刊行することを最優先に組まれています。『アレ』が紙媒体である性質上、入稿〆切が存在するため仕方ないことですが、かといってWeb(「コレ!」)を犠牲にしてしまうのは問題です。しかし、〈アレ★Club〉は所属メンバー全員が副業的に活動に参加しているということもあり、本業や私生活を犠牲にしてまで更新を行うことについては、僕(堀江)はもちろん、代表の山下の本意ではありません。

改善のための方策についてですが、昨年末の段階でスケジュールの調整および情報の共有を強化するようにしましたが、まだ徹底できてはいません。この点については今度、事務局および組織マネジメントの担当者と協力しながら、改善を図っていきたいと思います。ちなみに、昨年末には「コレ!」専門の編集部を新たに立ち上げ、現在も進行形で役割分担を進めています。

・時事へのコミットの必要性(要検討)

〈アレ★Club〉で作っている媒体については「カルチャー誌」・「カルチャーWebマガジン」と謳っていますが、僕たちのサークルは同人ジャンル的には「評論系」に位置付けられます。実際、僕たちは「日常から知を吸い上げ、紐づける」をメインテーマに活動していますし、外部との関わりの中で『ゲンロン』や『PLANETS』、『ユリイカ』などと比較されがちです。こうした状況下では、時事ネタを追いかけることによって記事を増やすと同時に、社会問題について言及することが、Webの更新頻度の上昇にも繋がります。

しかし、確かに時事ネタを追いかけることは記事の増加のために有効ではありますが、それが過度になり過ぎると、その結果としてサイトの質の低下を招く恐れがあります。世の中には表層だけなぞっても意味のない事柄や、人々の感情に起因する物事が溢れています。「何に触れて何に触れないのか?」は重要な問題であり、今度も検討していく余地があるでしょう。

・連載陣の確保(進行中)

更新頻度の増加のためには、〈アレ★Club〉のメンバー以外にも、毎月投稿してくださる連載執筆者の方々の協力が必要不可欠です。これに関しては、僕たちが声をかけている方や企画が進行中の方、原稿を送ってきてくださる方が既に存在します。また、投稿者エントリーフォームを紙媒体版とWeb版に分けるリニューアル作業を、現在当会副代表の市川と進めています。

B:Web-イベント-雑誌の連携

現状、Webと雑誌やイベントとの連携が不十分です。単にイベントの開催や新刊の刊行について告知をするだけでは、Webのポテンシャルを活かせているとは言えません。そのため、今後は機関誌『アレ』と連動した企画を、Web上で実施していきたいと思います。

C:Web特集を組めなかった

残念ながら、昨年は「コレ!」独自の特集企画を実施することができませんでした。これは、執筆者の確保以前の問題であり、要するに僕たちのスケジュール管理の問題です。先述した人員管理の改善および投稿エントリーフォームの改善がなされれば、外部の方も参加しやすいWeb特集が組めるようになるはずですので、頑張りたいと思います。

◆2.達成したこと

A:低コストでのスタート

当サイトは低コストでスタートしており、また、サイト開設で生じたコストについては現時点ほとんどペイできています。低コストでサイトを立ち上げられたことについては、成功点と言って差し支えないでしょう。また、〈アレ★Club〉では僕がHTMLをある程度いじれる他、市川・みくといったエンジニアがメンバーとして参加しています。今後は彼らの力を借りながら、より見やすいサイトを目指していきます。

B:外部との連携

昨年はサイトをオープンした当初から、『PRANK!』の羽海野渉さんや『M.L.J』の高山健さんなど、外部の方々のご協力を得ることができました。当サイトでは今後も継続的に、外部の執筆者を募集していきたいと思います。

(※)なお、羽海野さんの連載については、今月は体調不良のため休載となります。

C:継続的なアクセスと収益

先程「更新頻度に問題がある」と言いましたが、一方で更新頻度の割にはアクセス数を保つことができていたのは、僕にとっても予想外のことでした。特に、当サイトはGoogle検索からの流入が多く、検索で調べてお越しくださっている方がおられるのは嬉しい限りです。また、Webの収益が右肩上がりだったことも想定外でした。

ただ、広告クリックで収益を得るというスタイルについては、少なくとも僕たちは好んでいません。そのため、当サイトではできる限り読者の皆様にとってメリット(=それ自体が有益である商品の提示)となる広告を掲載するように努めてきました。今後も当サイトでは「広告ありきではない記事・広告」の掲載に努めていきます。

D:“さいむ”のバフ読み飛ばしていただいて構いません

先に断っておきますが、これは熱心な、そして何故か一定数存在する“全身緑色のアイツ”のファンの方々以外にはどうでもいい情報です。彼は組織上、僕の下についてくれているメンバーですが、昨年は今まで以上に多くのことを彼に任せました。例えば、当サイトは現在、僕と彼の二人を中心に運営しています。その結果、僕たちの活動にも、彼個人にもいい影響を与えたようです。今後も、彼のバフは継続的に続くことでしょう。さいむ君、ゲームでいう「OP(オーバーパワー)」を目指して頑張りましょう。

◆3.現代のネットの問題に対して

ここまで当サイトの振り返りと今後の目標について話してきましたが、やはり現代のネットの問題についてどう考え、困難をどのように乗り越えていくのかについては、考えていく必要があるでしょう。

過去の記事でも繰り返し述べてきましたが、1人のメディアマンとして、企業Webサイトの編集長やWeb媒体の記者として活動してきた僕から見て、現代のメディアの多くは、「バズ」や「フェイクニュース」といった問題を少なからず抱えています。これらは、超短期的な読者の欲求、例えば「楽しさ」だったり、「承認欲求」だったり、あるいは「なんとなくある問題を分かった気になりたがる」だったり……などを満たすことで成り立っています。

また、多くのメディアは活動継続のために「収益」を必要としています。これは僕たちにとっても同様で、継続的な活動のためには、収益は必要不可欠です。しかし、現在Webで真っ当に収益を上げることは、小さな団体や個人であればあるほど難しくなってきています。加えて、収益を出す方法として現在最も手軽なのは、バズやフェイクニュースでアクセス数を伸ばして広告収益を出すことで、その広告もステルスマーケティングのような形で提供されているケースが決して少なくありません。そのため、多くのWebメディアは広告ありきで作られており、ステルスマーケティングの問題や、記事の質の低下などについては、現状ほとんどのことが根本的に解決しているとは言い難い状況が続いています。

こうした現状に対して、「Googleの検索エンジンが最適化されればいい」、「SNSのアーキテクチャの問題だ」という意見があります。個人的には、これは正しい提案だと思います。しかし、僕たちは決して受け身の団体ではありません。そのため、こうした現状を踏まえて僕たち自身も、何らかの解決策を打ち出していく必要があると感じています。

では、具体的に僕たちはどうしていくか。まず、僕たちは機関誌『アレ』、Webマガジン「コレ!」、そして各種イベントの連携を強化し、収益を上げていくことを考えています。さらに、例えばクラウドファンディングや会員向けコンテンツといった、広告以外の収益獲得についても検討しています。もちろん、これらの導入に関しては、とても慎重に議論をしていく必要がありますし、昨年末から継続的に議論が行われています。

繰り返しになりますが、コンテンツの質を担保し、並行して収益を上げることは、非常にセンシティブな難しい問題です。現代のネットには、読者の満足度や情報の質とは別次元の「収益を上げるためのサイトの質」が存在しています。僕たち〈アレ★Club〉は、それらの両立可能な構造について考えていくと同時に、今後も良質なコンテンツを皆様に提供できるよう努めていくことを、この場でお約束します。

◆4.おわりに

以上が、今回のパッチノート(Ver.0.9)です。ここまでの内容を大まかにまとめると、

・強化(バフ)
・人員管理
・情報共有
・投稿エントリーフォームの改善

   ↓

・更新頻度の増加
・外部執筆者の参加
・Web特集の開始
・Webをよりイベントや雑誌と連動するように

   ↓

・〈アレ★Club〉の認知度・活動規模・目標達成率の向上
・より持続可能な組織へ

といったところでしょう。これらの実現のためにも、やはりまずは組織のメンバーの意識を統一する必要があります。僕たちのような小さな団体は、フリーライドするメンバーが1人いるだけでも、作業効率が激減するからです。

また、今後特に意識すべきことは、個人的には「愚痴を提案に変えていくこと」だと思っています。幸いなことに、当会ではSNS上で〈アレ★Club〉の活動について愚痴をこぼすメンバーは今のところいません。これは、SlackやDiscordを利用することで、メンバーの意思疎通が最低限できている証拠だと考えられます。さらに、自分の意見が分かりやすく紙媒体やWebメディアに反映されるという構造も、メンバーの意思疎通へのインセンティブとなっていると思われます。そのため、今後も組織の一員であり、組織をより良くすることにメリットがある組織構造を、幹部メンバー・一般メンバーが協力して作り上げていけたらと思います。

最後に、このパッチノートが、皆様の活動や組織作りの参考になりましたら幸いです。引き続きパッチノート(Ver.1.0)のリリースまで頑張っていきますので、今後ともよろしくお願いいたします!

[記事作成者:堀江くらは]