前回:【『GODZILLA 決戦機動増殖都市』は面白かったのか?】アニメ映画『GODZILLA』のテーマを読み解く【アレ★トーク(4)】
〈アレ★Club〉のメンバーがGoogle Hangoutで行っている日々の雑談の中から、「一匙の公共性」がありそうなものを「さいむ」が勝手に書き起こし、他のメンバーのチェック無しで記事化する「アレ★トーク」。今回は今話題の「クッパ姫」について、〈アレ★Club〉代表の山下泰春が持論を展開したところからトークが始まりました。
★本日の登場人物
・山下泰春
〈アレ★Club〉代表。クッパ姫について色々と言いたいことがあるらしい。
・堀江くらは
本サイトの運営責任者、『アレ』編集長。キングテレサ姫はちょっといいなと思ってる。
・市川遊佐
〈アレ★Club〉副代表。クッパ姫について言いたいことは特にない。
・さいむ
〈アレ★Club〉のWeb編集・文章校正担当。クッパ姫について言いたいことはやはりない。
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◆クッパ姫とは?
さいむ:
クッパ姫が話題ですよね。
くらは:
ああ、あれね。キングテレサ姫の画像とかかわいくて好きだけれど、すごくBuzzってるよね。
山下:
いやいや聞いてくださいよ。あれって元々は、『NewスーパーマリオブラザーズUデラックス』で出てくる「スーパークラウン」っていうアイテムをかぶったキノピコがピーチ姫化するっていう設定が由来なんですけど。それを元に『スーパーマリオオデッセイ』のエンディングでのマリオとクッパの関係を援用して出てきたものなんですよ(※1)。
さいむ:
……なんとなくメモっておきますね。
市川:
へー。しっかりその辺りの設定は抑えてるんだ。僕知らなかったよ。
くらは:
TwitterトレンドからYahoo!ニュースにまでなったけど、ツイート数が多すぎて一般名詞と見なされてトレンドから削除された。そのくらい流行ってる。
山下:
基本的に、任天堂のコンテンツってポケモン以外は創作勢のファン層が少なかったんだけど、クッパ姫っていう燃料が投下された途端にここぞとばかりみんなが描き始めて、いつのまにかキャラの設定から大きく離れていった。で、キングテレサ姫みたいなキャラが2次創作のアイデアを源泉にした、次の2次創作が生まれている。そういうTwitterで高速消費されるブームに嫌気がさしている人もいる。
くらは:
公式キャラ化して欲しいっていう署名が任天堂に複数出されてさ、更にそれに対する批判も複数発生してる。っで、ネットを見ていると「ケモナー」界隈の中では怒っている人もいるけれど、あれは何なの?
山下:
「ケモナー」って括りはかなり厄介な問題を含むからあんまり使いたくはないんだけど、いわゆる「ケモナー」はクッパの設定の上っ面だけを引っ張っている部分にひっかかっているんだと思う。擬人化全般(と言っても一応この話は擬人化じゃなくて「ピーチ姫化」って設定があるけど、ともあれ表現としては擬人化に近い)に言えることだけれど、あの適当さ加減に嫌気が差している人もいるから。僕だって嫌な時はありますよ。
◆「クッパ姫」は「姫クッパ」にすべき?
さいむ:
それ、流行ったのが「クッパ姫」ではなく「姫クッパ」だったらどうなってたんでしょうか? 見た目が完全にクッパで性別だけ女性っていう状態です。
山下:
スピノザが言うには「人間を愛するのは人間だけ」だから、アイデアとしては思いつけても流行ることはないんじゃない。ただそれに付随して言うなら、そもそもクッパ姫という言葉自体がケモナー界隈においては語法として矛盾しているんだけどね。
市川:
ん? どういうこと?
山下:
ざっくり言うと「ケモショタ」と「ショタケモ」は違うんですよ。一見キーワードの順番が変わっただけに見えるけど、前の言葉はそのキャラクターの前提となる要素で、後ろの言葉は前提に付け足される属性になるから、ここが変わると出力が別物になる。ケモショタの場合は、獣の属性を前提としてそこにショタという属性が付く。ショタケモはこれとは反対で、ショタの属性にケモノという要素が付く。だから前者はいわゆるケモナーが看過できる「ケモ度」なんだけど、後者はそうでない場合が多い印象がある。
さいむ:
ひょえー。そんな法則になってるとは知らなかったです。
山下:
……ただ、これはあくまで“一部”のケモノ好きで流通している文法なんだけれどね。クッパ姫という言葉はそこから発しているはずなのに、姫を前提としてクッパが付け足されているから。そのことに怒っている人もいるよね。
さいむ:
……それならBuzzった絵が「姫クッパ」って名前ならよかったんですか?
山下:
いやもう、今すぐにでもそうすべき。
他一同:
(大爆笑)
くらは:
まぁ、あるコミュニティの言葉がBuzzって広まった結果、界隈の基準からみたときに誤用が発生しているってケースなんだろうね。狭いアンダーグラウンドな界隈の言葉が急に広まったから、そういうことが起きる。まぁ、「クッパ姫」そのものについては何の問題も無いけど。
山下:
問題はありますって!
くらは:
……黙れ。
市川:
要するに、ある界隈でしか使われていなかった事物を示す言葉、或いはタグが、その事物の1つがはやると意味をなくしたり、取り違えられたりする。今回は全然問題がないんだけれど、それが社会的な問題になると齟齬が生じる。
くらは:
超簡単に言うと、Buzzの中で言葉の意味なんて簡単に変わってしまうし、内容が180度変わることもあるよね。って話。例えば、性の問題だと誤用は個人のアイデンティティに関わるかもしれないし、商業メディアが専門的なこと、たとえば(今回はマリオだから)ゲームとかの話題で誤用をすると大体炎上する。ここら辺は念頭に置いておいた方がいいと思うよ。
山下:
任天堂だとこの手の問題って他にもあって、たぬきマリオが……。
くらは:
さいむ、もうこの会話のメモ打ち切っていいぞ。
さいむ:
アッハイ。
【注釈】
(※1)
さらに言うと、その元祖となったのがhaniwa氏による『スーパーマリオオデッセイ』の4コマ漫画(https://twitter.com/ayyk92/status/1042465252221181954)である。
[記事作成者:さいむ]
緑の人。ひょえー