評論系同人サークルが活動を継続するための「ノウハウ」について

◆はじめに:この記事について

どうも、〈アレ★Club〉事務局長の“永井光暁”です。突然ですが、僕は普段はフリーライターとして活動しつつ(お仕事ください)、休日は実家の飲食店を手伝っています(一応、食品衛生責任者の資格も持っています)。そして、そうした日常生活を送る傍ら、〈アレ★Club〉では「事務局長」という肩書きで、主に平日の空いている時間を利用して、

①書店さんへの営業・委託発注・納品・在庫調査(倉庫番)
②サークル内外で使用する正式な書類の作成および校正
③サークル口座の管理(金庫番)

と、大きく分けて三つのサークル業務を担当しています。ちなみに、どうして僕がこのサークルの事務局長を務めているのかというと、

①本業がフリーランスなので平日の日中に動きやすい
②ビジネス文書の作成経験が多かった
③性格的にマメなのでいわゆる「金庫番」や「倉庫番」に向いている

という理由があります。もちろん、これはあくまでも〈アレ★Club〉の話であって、全ての同人サークルが役割分担をできるわけではありません。詳しいデータが見当たらないので断言はできませんが、「同人サークル」の場合、ウチのような10名のメンバーがいるような大所帯は非常に稀で、ほとんどの同人サークルは、2~3名の少人数か、あるいは1人で活動する「個人サークル」だと思われます。

そして、こうした少人数のサークルは、同人誌の制作から即売会へのエントリー、書店さんに委託する場合はその対応から事務処理、さらには同人活動費の管理など、多くのことを1人、あるいは少人数で行う必要があるため、どうしても負担が大きいと考えられます。

僕たちが作っているジャンル不定カルチャー誌『アレ』のようないわゆる「評論系同人誌」の場合、少なくとも僕の視点からは、個人ではなく集団で活動しているサークルさんが多いように見えます(「批評同人誌」の場合は特に)。ですが、いくら複数名でサークル活動を行うとはいえ、多くの場合は平日に仕事をしたり、あるいは学校に行き、平日の空いた時間もしくは休日をサークル活動の時間に充てる必要があるため、サークル活動に使える時間は限られてきます。また、生活していれば冠婚葬祭や繁忙期のようなバタバタするイベントや時期も出てきますので、たとえ複数名が所属するサークルでも「忙しくて新刊を落としました……」なんてことや、最悪の場合、「サークル活動が継続できないから解散しました……」なんてことも、往々にして起こり得ます。

こうした意味で、「日常生活を送りながら同人誌を継続的に刊行する」ことは、多くの同人サークルが理想像にしている一方で、なかなか実現するのが難しいことのように考えられます。

では、一体どうすれば「日常生活を送りながら同人誌を継続的に刊行する」ことが可能となるのでしょうか。この記事では、当会こと〈アレ★Club〉の事務局長である僕の経験に基づいて、公開できる範囲で、こうしたサークル活動を継続するためのノウハウについて書いていきたいと思います。

◆〈アレ★Club〉流活動ノウハウ・その1(サークルの設立準備)

ここでは、実際に同人サークルを作るにあたって、これまでの経験から僕が「これはやっておいた方がいいだろう」と思うことについて列記していきたいと思います。なお、一応お断りしておきたいのですが、以下はあくまでも「〈アレ★Club〉の場合」という一例であって、全てのサークルさんに適用可能ではないことを、あらかじめご了承ください。また、以下の内容がウチのような「複数名のメンバーが所属する評論系同人サークル」を想定した話であることについても、併せてご注意ください。

・ノウハウ①:「運営規約」と「会員名簿」を作ろう
さて、新規に同人サークルを作る場合、まずは「運営規約」「会員名簿」を作りましょう。ここでの「運営規約」とは、サークルの名称・設立日・所在地・構成員・役員・役員の職務・役員の権限・運営方法・入会方法および脱退方法などについて記した、一言で言えば「サークルの決まり事」をまとめたものです。また、「会員名簿」はサークルメンバーの氏名・生年月日・役職・住所・連絡先一覧を記載したものです。

もちろん、これらを作らなくてもサークル活動自体は可能ですが、「運営規約」や「会員名簿」が無ければ後述する「サークル専用口座」を作ることが不可能となりますので、同人誌の印刷費を主とする「活動費」をしっかり管理すること、サークル活動において不測の事態が発生した際に迅速に対処するためにも、これらは作っておくことが望ましいです。ちなみに、「同人サークル」は日本の法律では「任意団体」や「人格のない社団」と定義されていますので、これらを作る際には、適宜ネットで「任意団体 運営規約 テンプレート」といった風に検索をかけて、テンプレートを探してから作成することをオススメします。なお、状況に応じて改定は忘れずに行いましょう。

・ノウハウ②:「サークル専用窓口」を作ろう
次に、「サークル専用窓口」を作りましょう。これは、サークル活動を行う際、対外的に連絡のやり取りをする時に用いる連絡先のことです。といっても、メールアドレスはフリーメール(特にこだわりが無ければ「Gmail」で十分です)を使えばいいですし、電話番号についても、最近はMVNOでも通話専用プランを安価で提供している会社がありますので、専用窓口を作ること自体はそう難しくないと思います。一応、電話番号は維持費がかかるため、余裕ができてからでも問題ありません(それまではサークル代表もしくは書店委託を含めた渉外担当者の電話番号の使用をオススメします)が、最低でもメールアドレスはサークル専用のものを用意しましょう。

・ノウハウ③:「投稿規約」と「投稿ガイドライン」を作ろう
次に、「投稿規約」「投稿ガイドライン」を作りましょう。ここでの「投稿規約」とは、主に寄稿者さんに投稿要件について説明するためのものであり、「投稿ガイドライン」とは、サークルで作る同人誌のコンセプトや求める原稿の方向性についてまとめたものです。

多くの評論系同人誌では、サークル外の方々から寄稿を募集します。その際、「投稿規約」が存在しないと、投稿要件についての共有を十分に行うことができず、査読や編集の際に齟齬が生じる可能性があります。また、「投稿ガイドライン」が存在しないと、せっかく寄稿者さんが現れても、自分たちが作る同人誌のコンセプトや、原稿に求める方向性が共有されず、最悪の場合、せっかく原稿を送ってくださったのに掲載できず……なんてことも十分に考えられます。したがって、この二つは可能な限り作成しておいた方が無難です。

ちなみに〈アレ★Club〉の場合、「投稿規約」「投稿ガイドライン」については、いずれも「Dropbox」を使って誰でも閲覧・ダウンロードが可能な状態にしており、寄稿者募集の際に、「コレ!」(このサイト)に設置した投稿エントリーフォームやTwitterの公式アカウントにリンクを貼っています。送っていただいた原稿の査読・編集を円滑に進めるため、自分たちが作る同人誌のコンセプトを逐一確認するためにも、これらを作成した上で、サークルメンバーと寄稿者さんの双方としっかり共有することをオススメします。

・ノウハウ④:「サークル専用口座」を作ろう
最後に、「サークル専用口座」を作りましょう。個人サークルならともかく、複数名のメンバーがいる同人サークルの場合、「活動費」を個人の口座で管理するのは大変ですし、収支が合わないなんてことがあれば、揉めに揉めた挙句、最悪の場合はケンカ別れが起きかねません。金銭関係で揉めないよう、「サークル専用口座」は必ず作っておくことをオススメします。

「サークル専用口座」については、同人サークルのような「任意団体」の場合は、「ゆうちょ銀行」が一番作りやすいと思われます。実際、ウチのサークルでも「ゆうちょ銀行」で〈アレ★Club〉名義の口座を開設しており、サークルの活動費については、ほとんどこの口座で管理しています。

肝心な口座の開設方法についてですが、簡単に言えば以下のモノを持って郵便局に行き、「ゆうちょ銀行」の窓口で新規口座開設の申請をするだけです。

【口座開設に必要なモノ一覧】
・運営規約
・会員名簿
・代表者の身分証明書
・代表者の印鑑
・サークルの活動実績を示す制作物やHPを印刷したものなどの各種資料

ちなみに、上記のうち「会員名簿」と「サークルの活動実績を示す制作物やHPを印刷したものなどの各種資料」については以前は不要でしたが、2017年10月から「ゆうちょ銀行」では必須となりました。そのため、少なくとも現在では制作物(同人誌)を最低1つ作るまでは、口座を開設することは難しいと思われますので、これについては制作物の頒布が可能になった段階で検討することが望ましいです。

また、「任意団体」名義の口座を作る場合、現在は多数決が可能となる3名以上の構成員が団体に所属していることが口座開設の条件となるため、どうしても団体名義の口座が必要な場合は、最低でも3名のサークルメンバーを確保しましょう。ちなみに、口座開設条件が年々厳しくなっているという話がネット上では散見されますので、詳しくは最寄りの郵便局で相談することを強くオススメします。

◆〈アレ★Club〉流活動ノウハウ・その2(作業環境の整備)

ここではサークル活動におけるメンバーの負担をなるべく減らし、かつ作業効率を上げる方法の一つとして、作業環境の整備について述べていきたいと思います。

この記事の最初の方でも述べたことですが、当会こと〈アレ★Club〉には2019年5月現在、サークル代表の“山下泰春”を筆頭に、10名のメンバーが所属しています。僕と山下は大阪在住ですので比較的簡単に会うことができますが、副代表の“市川遊佐”は千葉に住んでおり、また『アレ』編集長の“堀江くらは”は北海道に住んでいます。また、他のメンバーも本業や住んでいる地域がバラバラのため、僕らが全員集まる機会は、『アレ』の新刊を初頒布する、年2回の「文学フリマ東京」以外にはほとんどありません。

しかし、それでも僕たちは2016年11月の『アレ』Vol.1刊行以来、今年5月に刊行した新刊『アレ』Vol.6まで、計6冊のジャンル不定カルチャー誌『アレ』を制作・刊行してきました。つまり僕たちは、「サークルメンバーと直接会わなくても本を作ることはできる」ということを証明してきたと言っても、決して言い過ぎではないと思います。では、僕たちはどうやって『アレ』を作ってきたのでしょうか。以下、僕たちがやってきた工夫について、簡単にですが述べていきたいと思います。

・ノウハウ⑤:「Slack」を活用しよう
まず僕たちがやったことは、自分たちの「ワークスペース」を作ることでした。メンバーの住んでいる場所や活動可能時間がバラバラな以上、サークル全体への連絡やメンバー個別への連絡はもちろん、同人誌の制作やサークル運営に関する議論を行うのに、そうしたことができる場所を作ることは必須でした。

そんなある日、サークルメンバーの“みく”が提案したのが「Slack」を使うことでした。これは、簡単に言えばネット上にある「ワークスペース」で、連絡やファイル共有はもちろんのこと、話題に応じてチャンネルを新たに作成することで、議題が分散することを防ぎつつ、各議題についてサークルメンバー間でしっかりとやり取りができます。また、「Slack」上にはログが残るため、メンバーの活動可能時間がバラバラでも、ログを追うことで後からコメントを加えるといったことも可能です。

・ノウハウ⑥:「Discord」を活用しよう
しかし、「Slack」だけでは文字のやり取りしかできないため、メンバー間でコミュニケーションを取るにはいささか不十分です。そのため、次に僕たちは「ボイスチャット用ツール」を探すことにしました。当初は「Googleハングアウト」を使っていたのですが、これは後述する「ノウハウ⑧」では有効であるものの、複数の部屋を作ったり、部屋と部屋の間を行き来することは難しく、またどの部屋に誰がいるのかも入室直前まで分からないため、ボイスチャットをするために参加可能かどうかをいちいち「Slack」で確認しなければならないという、本末転倒な状況になっていました。

それからしばらくして、僕たちは代表・山下が提案した「Discord」を使ってみることにしました。これはゲーマー向けのチャットツールで、文字を用いたチャット機能もありますが、ボイスチャットに強く、動作も軽いためPCやスマホにかかる負荷がかなり少ないことが特徴です。また、「Slack」と同じくサーバー内で自由に部屋を作ることができるため、話題に応じて部屋を分け、さらにはどの部屋に誰がいるのかも表示されるため、とりあえず大部屋に入って、あとは作業や話題に応じて部屋を移動する……といったことも簡単にできます。

僕たち〈アレ★Club〉の場合、「Googleハングアウト」を使っていた時はボイスチャットへのメンバーの参加率はそれほど高くありませんでしたが、「Discord」を導入したことで、参加率は飛躍的に向上しました。また、元々ゲーマー向けなこともあって、空き時間にメンバー同士でオンライン対戦をしたり、暇な時間帯に雑談をしたりといったことも可能となり、結果としてコミュニケーションを取る時間が大幅に増えました。サークルメンバー間のコミュニケーションで悩んでいるサークルさんにとっては、まさに至れり尽くせりのツールだと思います。

・ノウハウ⑦:「Googleカレンダー」を活用しよう
次に僕たちは、「サークル用のスケジュール帳」を作ることにしました。「Slack」や「Discord」は確かに便利ですが、それでもメンバー全員でしっかりと議論することや、誰がいつ空いている/空いていないのかを把握したり、入稿〆切までのスケジュールをきちんと組んだりすることは、複数名でサークル活動を行う上では必要不可欠です。

この問題について、僕たちは「Googleカレンダー」を用いることで対処しました。これはGoogleが提供しているサービスの一つで、カレンダーをサークルメンバーと共有することで、いつ寄稿者さんとのヒアリングがあって誰が対応するのか、誰がいつ不在なのか、入稿〆切はいつかなどといった情報が可視化されます。また、各々がスケジュールを個別に管理するよりも、「Slack」や「Discord」を使って進捗や予定について確認し、それを一つのカレンダーに書き込んだ方が、スケジュール管理の負担は圧倒的に軽減されますし、各メンバーのスケジュールについても把握しやすくなります。

・ノウハウ⑧:「Googleハングアウト」と「Skype」を活用しよう
さらに僕たちは、「寄稿者さんとのヒアリング用ツール」についても一工夫を加えてみることにしました。僕が聞いたところによると、評論系同人サークルの中には、寄稿者さんとメールだけでやり取りするサークルさんが少なからずあるそうです。しかし、メールだけだと寄稿者さんと十分に原稿の内容について議論できなかったり、作業を円滑に進めるための関係性の構築が上手く行えなかったりする可能性がどうしても残ります。

そこで僕たちが考えたのが、「Googleハングアウト」もしくは「Skype」を用いた寄稿者さんとのヒアリングです。これらはPCかスマホがあれば利用可能ですし、事前に時間を合わせさえすれば、直接は会えなくても寄稿者さんと口頭でやり取りすることができます。また、微妙なニュアンスも伝わりやすくなりますので、文章だけでは難しい円滑なコミュニケーションを行いやすくなります。

・ノウハウ⑨:「Googleドライブ」と「Googleドキュメント」を活用しよう
こうして着々と作業環境を整えていった僕たちですが、最後に検討したのが「ファイルの保管場所」「リアルタイム相互編集」の二つです。前者については、最初は「Dropbox」の使用を検討したのですが、思ったよりも動作が重く、視認性がイマイチでした。そして、色々とクラウドサービスを探した結果、既に「Googleカレンダー」と「Googleハングアウト」を使っていた関係から、「Googleドライブ」を使用することになりました。

そして後者についてですが、こちらは最初から「Googleドキュメント」の使用を考えていました。これの優れたところは、ドキュメントごとに共有権限を振ることができることで、例えば寄稿者さんから原稿や要約文が送られてくると、それを「Googleドライブ」上で作成したドキュメントに移植し、寄稿者さんに共有権限を振ることで、他の寄稿者さんはもちろん、無関係な人が寄稿者さんの原稿を閲覧することを防ぐことができるため、セキュリティの面でかなり安心です。

さらに、「Googleドキュメント」ではオンライン状態ならばリアルタイムで原稿を編集することができます。例えば、寄稿者さんと「Googleハングアウト」でやり取りしながら、「Googleドキュメント」上にある原稿についてヒアリングし、修正案を「コメント」や「色を変えた文字」で書きこむことで、素早く提案内容の確認および可否について判断することができます。また、仮にヒアリングができない場合も、事前に修正案を書き込んでおきさえすれば、後で空いた時間に寄稿者さんに確認してもらうことができるため、メール添付で修正案を書いたファイルを送るよりも、お互いの負担を軽減することができます。

◆おわりに

以上、ここまで〈アレ★Club〉での実践例に基づいて、評論系同人サークルがなるべく負担を減らしながら活動を継続するためのノウハウについて書き連ねてみました。こうして整理してみると、作業環境の面については、僕たちはかなりGoogleのサービスを用いていることが分かります。「僕たちはGoogleに頼って雑誌を作ってます」とは堀江の談ですが、実際のところ、Googleのサービスを有効活用することで、同人誌作り、特に作業面に関してはかなり効率化できると思います。

ここで紹介したノウハウについては、評論系以外の同人サークルはもちろん、同人に限らない小規模のチーム作りにおいても有効だと考えられます。というのも、ネットの発達によって、僕たちは必ずしも「リアルで会う必要」は無くなってきているからです。実際、ウチのサークル発足時も、僕たちは「Googleハングアウト」を使って3日間ぶっ通しで『アレ』のコンセプトについて議論しましたし、僕たちが実際にほとんど会わずに本を作っていることは、それを裏付けるに値する実績であると僕自身は考えています。

とはいえ、「リアルで会ったことも無いのにオンラインだけで作業するのは怖い」と思う方もおられるでしょう。ただ、この点に関しては必ずしもキッパリとした区別をする必要は無く、一度は会ったことがある人と同人誌作りを始めてもいいし、ネットでお互いに腹を割って話せる間柄の人、あるいは「何かを始めたいけれど燻っている人」と一緒に始めてみてもいいと思います。何故なら、「同人誌」作りにおいて一番重要なのは「メンバー間の物理的な距離」ではなく、「同じ志を持った人かどうか」ということだけなのですから。

◆余談:この記事を書いたきっかけについて

余談ですが、この記事は、今日の夕方にウチの堀江がとあるツイートを目にしたことをきっかけに書かれたものです。

これは、批評誌『エクリヲ』のメンバーである“高井くらら”さんのツイートですが、高井さんのように「ちゃんと仕事と生活を保ちながら批評誌を継続して出版していくための会みたいなのやってノウハウ共有できないかな」と考えておられるサークルさんは、割といるのではないかと思います。

ですが、少なくとも批評同人誌を含めた「評論系同人誌」の界隈では、サークル活動のノウハウについて情報交換をする機会は、高井さんが言っておられるようにほとんどありません。何故でしょうか。以下、この点について、僕なりの推測を述べていきたいと思います。

・推測①:評論系同人サークル間の交流が無い
他のサークルさんがどのように交流しているかの実態が分からないので何とも言えませんが、例えば僕たち〈アレ★Club〉が文学フリマのような同人誌即売会に参加しても、他サークルさんとは挨拶を交わすくらいで、自分たちの作っている同人誌のコンセプトやサークル活動におけるノウハウについて情報・意見交換を行うことはほとんどありません。もっとも、確かにお互いで作っているモノが異なれば、どうしても話すのは自分が所属するサークルのメンバーに偏りがちですし、その結果としてなんとなく「壁」のようなモノができてしまっていることは、容易に想像することができます。

・推測②:ノウハウが「門外不出」となっている
「推測①」に関連して、こうした状況があるために、各サークルが持っている活動を継続するためのノウハウが、ある種「門外不出」の秘伝みたいになっていると考えられます。その結果、サークル間の交流はもちろん、ノウハウの共有も行われにくくなっていると思われます。

・推測③:「前例」が無い
とはいえ、「推測①」および「推測②」に関しては、あくまでもサークル間の情報共有に関することであり、交流以外からも情報を仕入れることは可能なように思えます。しかし、例えば「同人活動 続け方」というワードで検索すると、確かに「続け方」に言及したツイートやブログ記事は見つかるのですが、その多くは「東京都内に住んだ方がいい」といった大雑把なアドバイスや、「無理しない範囲で続ける」といった一種の精神論です(もちろん、これらも重要な要素だと思いますので、これらの指摘自体を批判するつもりはありません)。

実際、この記事を書くにあたって僕も自分で少し調べてみましたが、「複数名が所属する同人サークルで、メンバーの負荷を減らしつつ作業効率を上げる方法」「平日は仕事をしながら同人活動を継続的に行う方法」のようなものについては、残念ながら「これだ!」と呼べるようなものは見つかりませんでした。つまり、ノウハウを得ようにも、ネットには参考になるような「前例」が転がっていないのです。

・余談のまとめ
以上、評論系同人サークル間でノウハウに関する情報交換が行われない原因について、僕なりの推測を述べてみました。この推測が当たっているかどうかは僕には分かりませんが、ただ少なくとも言えることは、こうしたノウハウについては、出し惜しみせずに(ただし公開可能な範囲で)ガンガン共有していった方がいいのではないか、ということです。

昨年末、去年1年を振り返る「アレ★トーク」の中で、『アレ』編集長の“堀江くらは”が次のようなことを語っていました。

他サークルさんとの交流に関しては、プロレスをしないこと、それから不毛な争いに関わらないようにすることがとても大事。もちろん、ライバル視することでお互いが切磋琢磨してクオリティが上がったり、あるいは相互参照が増えたりすることはシーンの活性化にも繋がるからいいと思うけれど、一方で批評家プロレスのようなドンパチを見たがる人、ドンパチそのものが好きな人も内外に一定数存在しているのも事実。そういう人たちが「シーンを盛り上げよう」という意識を持っているかは分からないけれど、皆で協力して市場を大きくしていく方が健全だし、ただでさえ少ないパイを奪い合うのは不毛でしかない。

実際、評論系同人誌の読者は、「同人誌」はもちろんのこと、商業誌を含めた「書籍」全体から見ても、決して多くはないと思います。このような状況では、堀江が言うように「ただでさえ少ないパイを奪い合うのは不毛でしかない」ですし、批評同人誌も含めた評論系同人誌が盛り上がっていくためには、少なくとも僕たち〈アレ★Club〉は「ウチだけが有名になっても意味が無い、評論系同人誌のシーン全体が盛り上がらないといけない」と考えています。

もちろん、一口に「相互交流」と言っても、単なる馴れ合いや褒め合いだけに終わってしまっては、シーン全体を活気付けることには繋がらないでしょう。思うに、①「シーン」において自分たちのサークルがどのような位置にいるのか省察すること、②お互いの良い点は共有しつつ、問題のある点についてはアドバイスを投げかけることこそが、今後の評論系同人誌のシーンを盛り上げていくことに繋がっていくのではないでしょうか。

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最近は同人誌もDTPで作ることが増えていますが、上記の本はDTPについてはもちろん、即売会に関するノウハウも載っているなど、痒いところに手が届く内容となっているのでオススメです。

[記事作成者:永井光暁]

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